2年前のリーマンショック以降、明るい兆しがなかなか見えない中、各業界団体は事業活性化へ向け懸命な取り組みを続けています。当協会も第7回定時社員総会で中山雅史代表理事・五十嵐祥剛副代表理事による新体制を確立し、新たなステージに立って業界の健全化・消費者の信頼確保という発足当初の目的を再認識し、力をあわせて事業活動を推進させていくことを確認しました。時代は大きく流動化しており消費者のニーズにも変遷がみられます。どう対処していくか、いくつかの動きをご紹介します。 |
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◎注目された経済省アンケート結果 価格よりも「安全・安心」 |
消費者ニーズはリーマンショック以降の不況デフレの中で、どう変わってきたのでしょうか。当協会のガイドライン遵守の必要性を考える上でも重要です。
この点について経済産業省は興味ある「消費者購買動向調査結果」を発表し、「消費者起点からの経済政策」の必要性を提案しています。調査結果は4月に発表されました。「リーマンショック以降の日本の消費者の実像」を調べたものですが、現在、結果に基づく検討を継続中で、6月中には新しい経済施策が提案される予定です。
この調査が”興味ある調査”として話題を呼んだのは、三千人を対象にした消費者アンケートによって次のような特徴的な結果が得られたためです。
まず、「消費にあたって重視する要素とは何か」との質問には、多くの消費者が「信頼」と「安心」を挙げたことです。その数は「低価格」を上回っていました。リーマンショック以降、消費者は「製品・サービスにこだわりはなく、低価格がこだわりのポイント」との見方が一般的でしたが、アンケート結果では改めてこの点が否定された形となりました。むしろ、低価格競争はかえって不況デフレを加速化させていくとの指摘も出されました。
また、消費者は不況の中にあっても消費をしたくないわけではないことがわかりました。「貯蓄」を選択した回答は5位に過ぎません。
では消費者は何にお金を使いたいのか。従来のような「典型的な商品への支出」ではなく、「趣味」「食事」「旅行」といった「生活を楽しむもの」「豊かにするもの」にお金を使いたいという傾向が顕著であることもわかったのです。
さらに事業者が提供するサービスについてどうかというと、「連絡すると修理・交換・設置に来てくれる」「お客様相談窓口を常設している」など、消費者からの声を直接聞き、消費者ニーズに機敏に対応してくれるようなサービス提供を求めていることも判明しました。”使ってみたら良くなかった”という商品・サービスへの感想は企業へ届けられる場合が多く、その消費者の意見を企業内でどうフィードバックするか、この点が「今後の企業の成長を決定する」と分析されています。 |
◎消費者の口コミ情報も大きな要件 具体的対応策を期待する消費者 |
この調査で経済産業省は、それぞれ製造・流通・小売など業種・業態別に250社への電話アンケートも実施しています。主に消費者対応の取り組みを調べたものですが、その結果、「企業側の対応」として次の点がわかりました。
消費者情報の入手は多くの企業で消費者相談窓口など消費者対応部門が担っているのが一般的でした。しかし口コミ情報や消費者調査などを通して積極的な情報収集を実施している企業は半数以下にとどまっており、限定的でした。「単なる消費者への情報提供やデータ管理だけのCS(顧客満足)活動は効果がない」とも指摘しています。問題が発生した場合、消費者は常に具体的な対応を企業に期待しています。細やかな対応を求める消費者の要求にどう応えるか、その点が信頼醸成の鍵と示唆しています。
その上で、調査結果は次のように結論付けています。
「業種によって程度の違いはあるものの、どの業種でも消費者の声の活用により、商品・サービスを工夫し、消費者のニーズを満たしていける可能性はある」
経済が停滞している中にあってこそ、このアンケート結果を原則的指摘として受け止めるべきでしょう。
当協会の場合、この指摘に関する実効性ある対応策として提示できるのが、自主基準である「毛髪業界の取引に関するガイドライン」です。 |
◎ガイドラインは健全化のあかし 信頼向上へさらにステップアップを |
発足8年を迎えた当協会は、業界の健全化と消費者の信頼性確保へ向け、今後も大きな飛躍が求められます。それを保証するのがガイドラインです。
5月14日の定時社員総会では、消費者の信頼確保を目的にいっそうの業界健全化を目指し、様々な事業を展開していくことが確認されました。ガイドラインの遵守はその基本です。細やかな顧客満足の向上へ向け、実効性ある有効なツールとして新たな消費者ニーズにも合致するガイドライン。積極的に、適切に運用してまいりましょう。
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