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                                          J・Hair News Vol.20 / J・Hair’s EYE

 激動の2008年――。今年は経済・社会・政治の各分野において、消費者問題が例年以上に焦点となり、それだけに深刻な年でした。協会の情報誌「J・Hair News」も今号で20号を迎え大きな画期となります。創刊以降決して平坦ではなかった歳月と重ね合わせ隔世の感を覚える会員の方々も多いのではないでしょうか。「教訓」は常に新たな発展の礎となります。協会発足時の原点を忘れることなく、予想されるいっそうの激動期に備え、まい進していきたいものです。エポックとなる今年の出来事を振り返り、展望を考えてみました。

 
◎相次いだ消費者関連法の整備、来年から続々施工へ

 今年の特徴としてはまず消費者関連法の制定・整備が挙げられます。直接ではないにせよ当業界に関係の深い「特定商取引法」(特商法)と「割賦販売法」(割販法)も6月に改正されました。
これら二つの法律は公布後一年半内での施行となりますので、早くて来年の春には新たなクレジット規制などを盛り込んだ新制度がスタートします。

  二つの改正法は認知症などで判断が不十分な高齢者や社会経験の少ない若者を狙った悪質な訪問販売が急増したこと、その被害額が高額化したこと、などを背景にしています。悪質行為の防止へ向け、契約・解約をめぐる新たな措置を盛り込んだ法律です。

  ポイントの一つは指定商品・指定役務制度を廃止し、法の適用範囲を拡大させたことです。

  また、通常必要とされる分量を著しく超える契約を結んだ場合、それは「過量販売」とされ、消費者は販売契約とクレジット契約の二つを解除できるようになります。通常は購入しないような過量な契約、それ自体が不適切と判断されるのです。

  また、クレジット会社には販売業者が不当な行為をした結果として販売契約が取り消されたとき、クレジット契約も取り消しとなって既払金の返還義務を負うことになります。そのような消費者被害の発生を防止するために、クレジット会社には販売業者が適正な勧誘を実施しているか調査する「適正与信義務」が新たに導入されます。この既払金の返還義務も改正点の大きな特徴です。

  現在、政省令の整備が検討され、施行までに各業界への周知徹底が実施されます。すでに大方のクレジット会社は、加盟店管理体制を強化し、新制度に合わせた対応を整備しています。当業界にも大きな影響を与えるとはいえ、契約をめぐる当協会ガイドラインの重要性を改めて確認できる法改正です。

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◎団体訴権が本格稼動へ 来年には対象の拡大も

 日本で始めての消費者団体訴訟制度のもと、その本格運用が始まったのも今年の特徴です。これは、国の認定を受けた「適格団体」が消費者に代わって事業者の契約条項や勧誘行為を監 視し、不適正な内容の場合は裁判所に差止請求訴訟を提起できる制度です。

  「差止」とは、不正な約款などの使用中止を意味しますが、修正の申し入れをしたのちに、なお改善が図られない場合には裁判所に提訴することができます。11月段階でその権利を与えられた適格認定団体は全国で6団体となりました。現在、裁判は4件が係争されていますが、提訴前の改善交渉の中で、多くの事業者が契約条項の改正を取り組みました。対象となった業界も、通信、賃貸住宅、学習塾、専門学校、金融・クレジット業界と幅広く、交渉段階で数十事業者に改善の申入書が提出されています。

  この制度は来年、さらに拡充されます。景品表示法で規定された不当表示や、特商法などの不当勧誘行為、不当約款などが対象に入るためです。差止請求活動の活発化が予想され、当業界を含む消費者契約を実施するすべての事業者には、よりいっそう、契約適正化へ向けた努力が求められてきます。

  ここでも当協会のガイドライン運用の重要性が明らかになっています。

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◎消費者庁設置構想で浮上した 情報一元化体制への整備

 今年の最も大きな話題は、消費者庁構想が提起され、これまでの消費者行政施策の再検討が取り組まれたことです。「一元化」がキーワードとなり、「消費者行政の一元化」「事故情報の一元化」「消費者相談窓口の一元化」などが検討課題となりました。

  「消費者庁」構想をめぐっては、国会政局との関連もあり、11月現在、来年4月の消費者庁設置は未定となっています。しかし、議論の過程で提起された検討成果は確実に今後の施策に反映されてくると思われます。その一つが「情報の一元化」です。

  消費者苦情相談は全国の消費者生活センターに年間百万件台で寄せられています。 このほかにも、担当省庁が収集する苦情事例や、公的機関、民間機関に集まる事故事例を含む相談事例なども膨大な件数に上ります。これら情報が一元的に収集・分析されないことから、深刻な消費者被害が見過ごされたり、防止できないままに放置されたりした事例が社会問題となりました。

  そこで「情報の一元化」が重要な課題となり、消費者がいつでも、どこでも相談できる窓口の一元化から、収集された苦情事例を行政機関内で共有化し、司令塔的な機関が分析、必要に応じて消費者に提供していくというシステムの構築が検討されています。これまで特定の機関に集まっていた苦情事例が、行政内で共有化され、適正な対応を事業者に提示することになります。

 
そのため事業者には、より迅速な消費者対応が求められてきます。苦情事例の温存による解決の先延ばしや、個別対応による取組状況も情報の共有化によって周知されることになるためです。「一元化」は、全ての事業者に従来の消費者対応への見直しを求めてきます。

  当協会は、その発足に当たっての基本的方針として、業界の健全化と消費者の信頼確保を掲げてきました。拠るべき日々の事業指針としてガイドラインを策定し、消費者対応を整備してきました。行政システムが大きく転換しようとしている今、迅速な消費者対応を謳うガイドラインの正当性が改めて評価されています。

◎サービス対応の「見える化」へ ガイドラインの厳正運用を

 今年は年初から「消費者の目線」の重要性が主張され、様々な施策の再検討が取り組まれました。危険な輸入食品の販売や、汚染米の拡大、表示の偽装などが横行したことも背景です。当協会のガイドラインはもともと「消費者の目線」を重視し、会員各社のコンプライアンスの拡充・強化を目的に策定されました。時代のニーズに合わせ改定も実施してきました。特に消費者対応には力を注ぎ、前述のようにトラブルの未然防止と迅速解決の指針として運用されている点は大きな特徴です。このような評価点を踏まえつつも、時代の大変革期にあたってはいっそうの活用が求められてきます。特に、消費者の信頼性確保の点では日々の事業活動について、顧客にきちんと私たちの対応が見えるようにすることも必要です。

  消費者対応ではサービス内容の説明から、相談対応、トラブルが生じた場合の納得できる解決方法の提示や、その教訓の汲み取りと事業への反映など、いくつかの課題が考えられます。政府では現在、「もうひとつの消費者紛争の解決手続き」として「ADR」の視点をサービス産業に導入できないか検討しています。裁判によらずに問題を解決する手続きはどうあるべきか、その検討です。

  背景には、サービス産業全体の健全発展と、「消費者目線」の重視があります。できるだけ消費者に事業者の対応を見えるようにする、そのことを通して信頼確保を図る、この視点です。時代の要請は、様々な制度的確立の要請となって提起されてきます。当業界を含むサービス産業の重要性が認識されるにつれ、この傾向は今後もさらに強まるものと思われます。

 
それだけに当協会の役割・責任も重くなり、会員企業の皆さんの、日々の業務への社会的期待感も大きくなります。しかし、協会の発足の原点はまさに、この社会的期待にきちんと応えようとする点にこそあります。

  消費者の信頼確保、その取り組みには上限はありません。当協会の「ガイドライン」はそのための道しるべです。大変革の時期、業界の健全化を図る消費者重視策の「指針」として、いっそうの厳正運用にまい進していきましょう。

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