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                                          J・Hair News Vol.11 / J・Hair’s EYE

各自治体、条例に明記へ 欧米でも導入活発化
悪質訪販・電話勧誘の防止に威力

〜「ガイドライン」遵守再確認を〜

 「不招請勧誘」(ふしょうせいかんゆう)という言葉をご存知でしょうか。「望まない勧誘」という意味です。いま、この不招請勧誘を禁止する消費生活条例が各地で制定・施行されつつあります。もともと消費者が求めてもいないのに無理に勧誘したり、消費者が断っているのに強引に契約を迫ったりするような行為は苦情発生のもととなります。そのような勧誘行為が条例に禁止事項として盛り込まれようとしている背景には、ここ数年来の深刻な消費者被害の急増があります。
  「不招請勧誘の禁止」が時代のすう勢となりつつある中、どんな企業・業界にも自らの勧誘実態について今一度点検し、コンプライアンスの推進と自主基準遵守を強化していくことが求められます。そうでないと消費者の信頼は醸成されません。

 
◎条例制定で新たな禁止行為 強引勧誘を規制へ

 不招請勧誘は「取引を希望していない消費者への勧誘」を指します。「望まない勧誘」であることからトラブルの契機となり、被害発生の温床とされてきました。消費社宅へ突然訪問して一方的に勧誘したり、「いりません」と消費者が断っているのに強引に商品・役務について説明を続けたりする勧誘行為は常に苦情の種となります。これまでも訪問販売や電話勧誘販売などの分野で問題視されてきました。

 消費者の側から見ると、この不招請勧誘は迷惑極まりない行為です。仕事中に突然かかる勧誘電話、手が離せないときの訪問販売、ときとして家族の団欒も破られます。

 「迷惑」と感じる程度ならまだ救いはありますが、多くの契約トラブル・消費者被害は、この不招請勧誘を端緒に発生しています。消費者にとっては不意打ち的勧誘ですので、どうしても受身とならざるを得ません。 明確に拒否できない消費者が多いのも実態です。昨年の高齢者宅を狙った「悪質リフォーム詐欺」など、ここ数年来、このような不招請勧誘を契機とした深刻例が目立つようになりました。

 そこで各自治体は、一昨年の「消費者基本法施行」に伴う消費生活条例の改正にあわせ、新しい禁止行為としてこの不招請勧誘を条例に明記することを検討するようになりました。すでに、群馬県や福岡県では7月1日から新条例に盛り込んで施行させていますし、東京都も不適正な禁止行為に含めようと条例改正を準備しています。

 この動きは全国で相次いでいます。従来から「不招請勧誘は公序良俗に違反する」として導入が取りざたされてきましたが、実際に、すう勢となりつつあるのは、それだけ強引勧誘などの悪質な消費者被害が続発しているためです。

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◎欧米でも時代の要請 ブッシュ大統領も承認

 不招請勧誘が日本の消費者に注目され始めたのは3年前。米ブッシュ大統領が、激増する電話勧誘被害の防止へ向け「電話セールス撃退制度を導入する」と発表したことに端を発しました。この制度は電話勧誘を希望しない消費者が、米連邦取引委員会(FTC)の作成・管理する「Do Not Call List」(ドント・コールリスト)という「電話勧誘拒否者名簿」に登録すればその後5年間は電話による勧誘を受けずに済むという消費者保護策です。事業者がリストに載っている消費者に対し、勧誘電話をかけた場合、その事業者には数百万円の罰金が課せられることになりました。この施策をブッシュ大統領が発表したことで、消費者から大変な支持がよせられたのです。もともと米国ではフロリダやオレゴンなど州レベルでこの電話勧誘拒否登録制度が導入されていたそうですが、それが全米の施策へと拡大したことが大きな支持を得た背景です。

 欧州でも、ドイツ、イタリアでは、「電話」「FAX」「電子メール」について不招請勧誘の禁止が以前から実施されてきました。イギリスは十年以上も前に金融商品販売の分野で高リスク商品に対する不招請勧誘を禁止していました。やはり深刻な消費者被害が激増したことが理由です。

 このように欧米では一つの流れのように、不招請勧誘への規制が導入されてきました。日本でもこれら海外動向を参考にここ数年の間に整備されつつあります。

 特定商取引法は、電話勧誘販売と広告メールの送信に対して、それを断った消費者への再勧誘の禁止や、再送信の禁止を定めています。

 金融先物取引法は、一歩進めてリスクの高い特殊な取引について勧誘の要請のない消費者に対する訪問や電話による勧誘を禁止しました。さらに、商品取引所法は、拒絶の意思表示をした消費者への勧誘禁止とともに、消費者が勧誘を受諾するか否かの確認義務を事業者に課しています。

 このように、最近制定・改正された消費者関連法では、消費者の望まない勧誘を制限する方向で規制が広げられているのです。

 国の施策でも消費者契約全般に同様の規制策を盛り込もうとする動きがあります。

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◎「平成19年に一定の結論」 消費者基本計画で導入明記

 「J・Hair」前号でご紹介した内閣府「消費者基本計画」でもこの不招請勧誘についての検討が予定されています。具体的には、消費者被害の発生防止へ向けた取引ルール作りの一環として、「情報提供義務や勧誘のあり方」について次の点を審議するとしています。

 「消費者契約法施工後の状況について分析・検討するとともに、消費者契約に関する情報提供、不招請勧誘の規制、適合性原則等について幅広く検討する」
 「平成19年までに一定の結論を得ること」が目標です。この検討に際して大きな課題になるのが「どのような不招請勧誘を導入すべきか」という点です。
 不招請勧誘の禁止手段には二つの方法があります。「オプトイン」と「オプトアウト」です。オプトインは、承諾を得た消費者だけを勧誘し、それ以外の人への勧誘を禁止するものです。勧誘には事前の同意が必要です。もう一方の「オプトアウト」は、勧誘を拒否した消費者への再勧誘を禁止するもので、拒否を受けていないことが勧誘できる前提となります。少しややこしいかも知れませんが、どちらの方法が採用されるかによって、事業者規則の度合いが違ってきます。

 先の例では、米国の「電話セールス撃退制度」や、日本の電話勧誘販売、広告メール対策などはオプトアウト規制であり、金融先物取引はオプトイン規制となります。今後、幅広く導入するにあたって検討の場となる内閣府審議会どのような判断を示すか、注目されます。

 国に先んじて検討を進めてきた自治体の多くは、オプトアウト規制を予定しているようです。 東京都の条例改正でも、「勧誘を拒絶する意思表示をした者に対する勧誘を禁止する」と説明されています。ただ、被害者の中には勧誘を明確に拒否できず、それが重大被害へと発展した深刻例多いことから、「事業者の側から消費者に対し、勧誘の開始について拒絶する機会を明示的に与えることが必要」とし、通常のオプトアウトを一歩強化させた規制内容になる模様です。

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◎自主基準を遵守し、ビジネスモデルの確保を
 自治体が条例を改正し、積極的に不招請勧誘の禁止規定を導入し始めようとしていることは、今後の消費者被害防止に大きな効果を発揮します。消費者契約に関する勧誘一般に係わることなので、特定の業種・業界に限らない点も注目され、今後の国の検討にも影響を与えます。

 そのことは、一方で、各業界に対してこれまでの消費者勧誘のあり方を点検し、よりコンプライアンスを重視した取り組みを推進させていくことを意味します。契約締結過程の「入り口」でどれだけ消費者の信頼を得る勧誘ができるのか、重要な鍵となります。

 当協会の自主基準(ガイドライン)は、消費者の信頼を醸成し、業界の健全化へ向け、透明性のある企業活動を目指すことを前提に策定されています。「消費者の望まない勧誘」は強引販売につながることを認識し、自らを戒め、それぞれのビジネスモデルとして役立たせるよう提示されています。

 深刻な消費者被害の急増は規制の強化を招き、各業界全体に波及するのが常です。しかし、当協会には信頼性高いガイドラインがあります。ガイドラインの精神に常に立ち返り、コンプライアンスを重視した取り組みを推進させていきましょう。

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